物価が上昇しないと首を傾げる黒田総裁へのヒント

異次元の金融緩和から約5年が経過しようとしていますが、なかなか物価が上昇してこないことに日銀の黒田総裁も困惑ぎみの様子です。マイナス金利を導入したものの、銀行収益が悪化するのみで、2%の物価目標の到達時期も先延ばしする結果となりました。

この原因として、「デフレマインドが根強く残っている」とか「アマゾンなどのインターネット通販が値下げ圧力に繋がっている」などの理由を挙げていますが、いずれも的外れの感がいなめません。

主に日本で物価が上昇してこない原因は、実は氷河期世代の「消費しないマインド」にあるのですが、これは一般的な意味でのデフレマインドとは性質が大きく異なるものです。

氷河期世代の意図的に消費しないマインドは、いわば失われた20年への反発として出でてきたもののため、新興宗教とも似た非常に強固なデフレマインドの側面があります。

「一切消費しないこと」を信条に掲げる禁欲主義にも似た宗教的な側面があるため、今後、仮に実質賃金や可処分所得が増加していったとしても、一切消費には回らないという性質があります。

この就職氷河期世代のマインドセットが、日本のデフレ脱却を困難にしている大きな要因といえるでしょう。

残念ながら、この氷河期世代のマインドを変えるすべは見当たりません。おそらく、日本のデフレ脱却には、50年から100年単位での時間を要するのではないかと考えております。