最近は少子化による出生数の低下が取りざたされていますが、今、出生数が低下したとしても、労働力不足が顕在化するのは早くても20年後のことです。まだ先のことですので、少子化問題についてはまだ時間的な余裕があります。
しかしながら、団塊の世代の介護問題により、氷河期世代の介護離職が大量に発生するのは数年後に迫っています。おそらくは5年後からはじまり、10年後の2033年あたりにピークに達するものと予想しています。
現在、人口層の多い団塊世代は、後期高齢者の75歳に突入している最中ですが、75歳前後の場合は、まだ自立した生活を送っている高齢者も多いと思います。
しかしながら、団塊の世代が80歳に到達し、そこからさらに85歳から100歳の年齢に突入する2030~2035年前後になると状況は一変します。仮に平均寿命を90歳としましても、介護問題が一番大変になるのは85歳から100歳までの間です。
団塊の世代を75歳としますと、今から5年後から要介護者が大量に発生しだし、10年後にピークを迎え、そこからゆるやかに減少していくものと予想しています。
当サイト運営者も要介護5の母親を一人介護していますが、これには想像を絶する大変さがあります。長年運営していた個人会社も経営が傾き、老後に貯めておいた退職金にも手をつけ、ほんの数年で急激に経済状況が悪化しました。
その間、医療と介護にて、公的な資金から数千万円が支出されていますが、これらは全て税金関連が原資となっているものです。
母親が手術1回で半年間入院しただけでも、1割負担にて半年で70万かかりましたが、逆にいえば、医療費全体で700万かかっていることになります。高額限度額を利用して70万ですので、もしかしますと、総額では1,000万を超えているのかもしれません。
これは全て社会保険料と税金から出ています。
加えて、退院後も、要介護5の場合は月額36万円まで介護サービスを受けられますが、介護費用でも年間400万円近くかかっており、そのうち300万円以上は介護保険料や税金から出ています。
母親一人でも、ここ数年で数千万円の公的負担がかかっていますが、平均寿命まで毎年300万円かかるとしますと、総額で約4,500万、今までの分も含めますと6,000万円の公的負担が発生します。万一、生活保護となった場合、15年で2,000万円としましても、合計8,000万円程度の税金がかかることになってしまいます。
これを団塊の世代を約800万人、85歳以上の要介護率を50%として単純に計算しますと、天文学的規模の財政支出となってしまいますが、税収70兆円規模では到底足りません。
その一方で、自分自身が介護離職のような状態となり、非課税者へと転落してしまいます。
このような氷河期世代が、今後5年後あたりから大量に発生しだすことになるわけですが、これが日本社会に与えるインパクトを政府はあまり認識していないように感じています。
いざ親の介護に直面した場合、何をおいても人命にはかえられません。公費から数千万が出ていたとしても、正直、金銭的なことなどどうでもよくなるのです。
もちろん、すべての団塊の世代が要介護5になるわけではありませんが、今から10年後、このような事態に直面する氷河期世代が大量に発生することになり、介護離職者が大量発生することになると予測しております。