医療費の公費投入による世代間格差の拡大問題

昨今、日本の医療費の総額が40兆円にせまる勢いですが、一般会計や特別会計などの違いで複雑になっており、どのようなシステムになっているのかいまいち分かりずらいです。また、社会保障関係費として年金などひとくくりにされているのも分かりにくい要因かと思います。

この医療費の財源は、患者の保険料負担と自己負担がメインになりますが、不足している分は税金によって賄われています。おおまかに、約半分の20兆円程度が患者の保険料、そして13%程度の4兆円程度が自己負担となっており、残りの税金による負担は38%で約16兆円という割合になっています。

公費の税金による負担の割合では、国庫が約10兆円ぐらい、地方が約5兆円ぐらいです。

国の税収が約54兆円であることを考えると国庫負担分の10兆円では約2割程度となっておりますが、年金や生活保護などの社会保障関係費だけで31兆円の予算になってますので、借金をして96兆円規模の予算を組まないとやりくりできない状況になってきているようです。

ただ、特別会計というわけのわからない仕組みがあり、その実態が非常にわかりにくいものになっています。

15~16兆円もの公費を投入していることを考えれば、普通なら自己負担額を増やすとか、あるいは保険料率を上げる、もしくは診療報酬を下げるなどしてきりつめて対応するべきです。

なぜそうしないのかを考えると、自己負担分を引き上げれば、病院に行かなくなる人が増えてしまうからではないでしょうか?

高齢者の場合、1回病院にいったとしてもほんの数百円程度で済むケースが非常に多いです。これは1割負担のため、ほとんどただ同然で医療を受けることができるという理由から、たいした病気ではないにしても、気軽に通院しているのだろうと思います。病院がお年寄りのコミュニティーの場になっているケースも多いようです。

また、手術で数百万円がかかるとしても、上限の金額が設定されていますので、その大部分はほんの数万円とか、数十万円程度で済んでしまいます。

つまり、患者をお客さんとすれば、高額な医療サービスを1割引きで購入できるわけです。また、上限も決まっています。このため、医療機関にとってみれば、簡単に売上を上げることができますので、医者の人件費の形で還元することができるわけです。

このような税金で際限なく医療を受けることができる国民皆保険制度というのは、本当に病気で苦しんでいる人ならよいですが、むしろ悪用されているというのが実態なのではないでしょうか?

まずは、自己負担額の引き上げが絶対に必要です。特に、高齢者世代の1割負担を改めなくては、際限なく公費が投入されることになっています。

そのつけは失われた世代である現役の「団塊JR世代」と「ゆとり世代」、加えて将来の「ポストゆとり世代」が払うことになり、不公平きわまりない事態になっています。少子化問題のみならず、将来を悲観したワーキングプアの若い現役世代は自ら命を絶ってしまうケースが多くなってきました。

今、医療に必要なことは、税金の投入を一切やめ、保険料と患者の自己負担のみで対応するべきです。
自己負担額の引き上げにより、よほどのことがないと病院にはいかなくなり、おそらくは医療費20兆円ぐらいで収まるものと思いますが、それでつぶれる病院はつぶれればいいのです。

まずは現役世代の保険料と税金の投入を止めない限り、今後ますます世代間格差が拡大していくものと思われます。