最近、「独身税」なるもののの話題が持ち上がっていますが、これには偏見があると感じています。
もともと子育て世代には子供手当や配偶者控除などがありますので、間接的、相対的には独身世帯の方が税金が重い傾向にあります。ぼくの場合なども、年度によっては社保などを含め年間600万円近い税金を払っている年もありますので、独身の方が税金が重く感じることも多いです。
現在では年少扶養親族の扶養控除が子供手当へと置き換わってはいますが、配偶者控除や子供の控除で納税額にかなりの違いが出るのが実際のところです。
例えば、妻と子供2人で合計114万円の所得控除があったとします。もし独身の僕の場合でこの同じレベルの所得控除があった場合、所得税34%、住民税10%で合計44%ありますので、単純計算で50万円の税負担の違いがあるわけです。
この納税額の違いは、単に結婚していないというだけです。これはまさしく「独身税」というものであり、新しく創設せずとも、すでに独身世帯の税金負担の方がかなり重くなっているという実情があります。
僕の場合はわりと税率が高い方ですし、また現在は年少者の所得控除が子供手当へと変更になっている事情もありますが、概ね、独身というだけで各種の所得控除や手当金がもらえないという実態があるわけです。
もし、独身税を創設するのなら、配偶者控除と子供手当などを廃止した上でなければ、二重課税になってしまいます。
特に、経済的な事情から結婚や子育てを断念している失われた世代にとっては、この独身税というペナルティー的な考え方に不快感を感じる人も多いのかもしれません。結婚しない事情は個々に違っており、病気の人もいれば、親の介護や団塊の世代の老後の生活の面倒を見るために結婚できない人もいます。
僕の場合でいっても、もし独身税が創設されるのであれば、結婚に踏み切った上で親への仕送りを打ち切り、親に生活保護を受けさせざるを得なくなります。結婚をして自分の家庭を持てば、親を扶養する余裕などはなくなるため、おそらくは申請しても許可されるはずです。
ただ、親に生活保護を受けさせてまで子育てはしなくないという思いもあり、ある程度の心づもりができるまでは結婚を延期している事情があります。もし、独身税を創設するのであれば、生活保護などの社会負担が増大し、結果的に財源不足で子供手当の廃止、あるいは減額などといった形で現在の子育て世代にも影響が出てくるはずです。
子育て世代は団塊の世代の親へ仕送りなどはしていないでしょうけれども、なかには仕送りせざるを得ない人も数多く存在するわけです。
さまざまな要素が支えあって現在の社会が成り立っているわけですので、独身税の創設で独身者へのペナルティー的な方法を取った場合、社会が崩壊してしまう可能性があります。そうなれば、子育てどころではありません。
独身税といっている人は、現在の社会が成り立っている複雑に絡み合った事情をまったく考えていないように感じております。